Fukumoto International Patent Office
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福本 2008年4月8日作成 2010年4月更新
外国で特許権を取得する道筋として、国ごとに個別に出願するという形態がありま
す。この伝統的な出願形態では、多くの場合、自国、外国ともにパリ条約の利益を受
けることのできるパリ条約の同盟国であり、先に自国で出願をし、その12箇月以内
にパリ条約に基づく優先権を主張して外国に出願することが多いものと思われます。
このように、パリ条約に基づく優先権を主張して国ごとに個別に出願する道筋は、パ
リルートによる出願と呼ばれます。
優先権を主張すると、先の自国出願に記載された発明と同じ発明については、あた
かも先の出願の日に出願したのと同等に扱われます(より正確には、先の自国出願後
の行為によって不利な扱いを受けないということ。この点、国内優先権とは異なりま
す。)。後の外国出願は、その国の言語で出願書類を作成する必要がありますので、
出願の前に翻訳作業を要します。
パリ条約は1883年に成立した歴史ある条約で、2008年4月現在、同盟国の数は日本
を含めて160を超えています。パリ条約同盟国ではない国であっても、WTO(国際貿易
機関)に加盟する国は、パリ条約の主要な規定についてパリ条約同盟国と同じように
扱われます。特許主要国のうち台湾(中華民国)はパリ条約同盟国ではありません
が、WTO加盟国ですので、パリ条約同盟国と同じく優先権の利益を享受することがで
きます。例えば、台湾から日本への出願、日本から台湾への出願の何れについても、
優先権を主張することができます。
パリ条約は、優先権だけでなく、他の同盟国民の特許は、自国民の特許と同等に保
護すべきとする「内国民待遇」の原則や、同盟国民の特許出願について特許すべきか
否かなどは、他の国(同盟国に限らない)の特許から独立であるとする「特許独立の
原則」を定めています。外国人による特許など(特許に限らず、実用新案、意匠、
商標、その他を含めた産業財産権)の扱い方の基本原則を定めた条約であると言えま
す。
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