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「連関図法」の効用 (誰でもできる発明・発想法−1−)



                福本 2000年作成 2007年3月更新

 問題解決の手法の一つとして、「連関図法」が何十年も前に提唱されています。ビ
ジネス関係の書籍を手にすると、KJ法(川喜多二郎法)などと並んで紹介されてい
る周知著名の手法です。「連関図法」は、あらかじめ問題点の原因を記した「原因カ
ード」や、目的を達成する手段を記した「手段カード」を多数用意して、それらの間
に原因―結果、目的―手段の関係を矢印で結び、足りない「カード」を適宜補充する
ことにより、問題点の原因を究明したり、目的を達成するための手段を探り当てたり
するもの、と書物には紹介されていました。

 連関図法の本質は、頭の中の見えない思考の流れを、図に表すことで、本人にも、
また第三者にも、明確にすることにあるのだと考えます。はじめから原因等を列挙し
たり、カードを準備したりすることなく、ふつうに紙と鉛筆とだけを使って、単に
個々の思考内容を丸囲みして(あるいは、しなくてもよい)記録し、その流れを矢印
で表してゆくだけでも、十分にその目的を達成することができます。それにより、連
関図法を使い易く、しかも十分に有用な身近な道具とすることができます。

 かつて民間企業に勤務していましたときに(退職も決まっていてその直前でした
が)、この亜流の連関図法を発明の手助けとして使って、特許出願したことがありま
す。一人で自問自答しながら、その思考の流れを連関図に記録してゆくことで、一歩
一歩、次に考えるべきことが目に見えて明らかになります。私のように頭の出来の良
くない者でも、足りない頭を無駄なく使うことができます。

 思考の結果、もしも、課題の解決のために調査したり、検討したり、実験したりす
べき事項が明らかになるようであれば、その通りに調査・検討・実験を行えばよいの
では、と考えます。

 一人だけでなく、グループ等で討論しながら発明や問題解決を行う際にも、有用で
あろうと思われます。連関図を囲んで記録しながら議論すると、全員が議論の流れを
明確に把握することができますので、目的とする発明や問題解決に効率よく導かれて
ゆくことだろうと思います。

 思考や議論の内容を、後日のために記録しておく目的にも有用です。棋士が過去の
棋譜を見て、その次の一手をいつでも考えることができるように、連関図法で記録し
た内容にもとづいて、はるか以前に中止した思考や議論のつづきを、いつでも再開し
直ちに進行させることが可能となります。

 亜流の連関図法は、発明活動だけでなく、講演、打ち合わせ、会議、他人の会話な
どの筆記メモにも転用することができます。講演などでの一つ一つの発言内容とその
論理関係とを、同時に記録することができますので、話の骨格を誤ることなく、内容
についてもほぼ同等のものを再現することができます。論理関係については矢印だけ
で記録できますので、記録が簡単で、簡便な速記法として利用することができます。


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